2013.03.11 13:53
エンゼル像寄贈及び犠牲者追悼式の開催(03/10-11 2013 宮城県石巻市大川小学校跡地)
2013年3月10日(日)及び3月11日(月)、宮城県石巻市立大川小学校校庭跡地において、 一昨年の東日本大震災で犠牲になった方々の鎮魂とご遺族はじめ大川地区関係者の皆様に「悲しみ」の中においても「希望」を持って未来への歩みを進めて戴きたいとの想いで、 エンゼル像の寄贈及び犠牲者追悼の式を執り行わせて戴きました。
1. リチャード・P・エヴァンス氏とエンゼル像
Richard P. Evans(リチャード・P・エヴァンス)氏は、1962年にアメリカ、ユタ州のソルトレーク・シティで生まれ、 家族愛をテーマにした作品を得意とする作家です (http://www.richardpaulevans.com)。 ユタ大学を卒業後、広告代理店に勤務し、仕事のかたわら自分の娘たちのために書いた「The Christmas Box」がクチコミで評判となり、 友人たちに勧められて自費出版したところ、全米でベストセラーになりました。 その後も、次々とベストセラーを執筆し、執筆活動のかたわら、恵まれない子供たちのための慈善活動にも積極的に取り組んでいます (日本では、講談社から、「クリスマス・ボックス」というタイトルで出版されています)。
物語の舞台となったソルトレーク・シティの墓地には、物語の象徴とも言えるエンゼル像が実際に置かれていましたが、 1984年の大洪水によって破壊されてしまいました。しかし、1994年12月6日、エヴァンス氏により新しいエンゼル像が寄贈されました。 その後、エヴァンス氏の活動が多くの読者に賛同され、アメリカ全土で次々とエンゼル像のレプリカを設置する動きが広がりました。 今では、アメリカ国内116ヶ所、カナダ1ヶ所にエンゼル像が設置されており、今回日本で寄贈されたエンゼル像は、118番目となります。 毎年12月6日(本の中で、女の子が亡くなった日)には、多くの遺族や関係者がお集まりになり、互いに子供らを亡くされた悲しみを共有し、励まし合っておられます。
2. 被災地へのエンゼル像寄贈
弊財団でこれまで支援活動を行ってきたすべてのスタッフが被災者の方々の深い悲しみは察するに余りあるものと感じておりましたことから、 お子様をはじめ、お親しい方々を亡くされた皆様を少しでも慰めることができないかと思案しておりましたが、私がエヴァンス氏と親しくしておりましたことから、 被災地にエンゼル像を寄贈したいとの想いに至り、ずっと、この像の建立にふさわしい場を探し続けて参りました。
3. 武山様との出会い
東日本大震災で児童74名、先生方10名が死亡・行方不明となった宮城県石巻市立大川小学校のある同市大川地区で、 地元住民による慰霊碑建立計画が進んでいることを知り、また、同校の傍に慰霊碑を建立するために資金集めをされている、 釜谷地区慰霊碑設立委員会代表の武山郁夫様の事が書かれた読売新聞(YOMIURI ONLINE)の記事を拝見したことがきっかけで、 お目にかかる機会を持つに至りました。
武山様は、震災当日、仕事で浜松方面におられ、難を逃れたそうですが、大川小学校を卒業したお嬢様(当時19歳)や奥様、ご母堂様は、 車で避難していた途中で津波の被害に遭われ、犠牲となりました。
実際に大川小学校を訪問し、お話を伺う中で、この場所ほどエンゼル像を置くにふさわしいところは無いと実感した次第です。
4. 大川小学校へのエンゼル像寄贈の準備
今回、大川小学校校庭跡地へのエンゼル像寄贈にあたって大変ご尽力戴きましたのは武山様ですが、 同校PTAの皆様をはじめ、多くの関係者と協議をして下さり、おかげで、同校内に慰霊碑の一つとしてエンゼル像を建立することを正式に許可して戴きました。
エンゼル像の輸入は弊財団にて行いましたが、基礎及び台座の作成、エンゼル像の設置工事については、 我々が支援活動を開始した当初よりお世話になっており、今回の活動の趣旨にも賛同してくださった有限会社青木商事(岩手県一関市所在)の社長青木猪三生様のご好意により、 全て無料奉仕で対応していただきました。
また、医療法人瑞穂会 東海林内科胃腸科(石巻市)の理事長 東海林健一様は、式の開催に際して必要であった我々スタッフの宿泊先やテントの手配に加え、 当日の設営までご尽力くださり、3月10日の夜は石巻にて関係者25名に夕食を振舞ってくださった上に、3月11日も昼食を差し入れて下さいました。
5. 地元主催合同供養祭の様子
地元主催の合同供養祭は、校庭内(エンゼル像の奥)に設置された慰霊碑前で開催予定でしたが、強風が吹き荒んでいた為に校舎内での開催となりました。
6. エンゼル像寄贈及び犠牲者追悼式の開催
3月10日には地元主催の合同供養祭終了後、エンゼル像の前で、名古屋からわざわざお越し下さった若宮八幡社の宮司である副野均様に式を執り行って戴きました。
式には、弊財団スタッフに加え、地元のご協力者の方々や米国ソルトレーク・シティからお越し戴いた、 Richard P. Evans(リチャード・P・エヴァンス)氏の代理人である、Lisa Johnson(リサ・ジョンソン)夫妻と エンゼル像の制作者であるJared O.M. Fairbanks(ジャレッド・O.M.フェアバンクス)氏に参列して戴きました。
また、3月11日には、岩手県にある水沢教会からお越しいただいた高橋昌神父と、 藤沢町の藤源寺(曹洞宗)からいらして下さった佐藤良規住職のお二方にそれぞれ追悼の儀式を執り行って戴き、 さらにイスラム教徒である弊財団のセイエド・タヘルもコーラン(イスラム教の聖典)の中から特に天使の働きについて朗読し、 世界平和の為に諸宗教の対話を意識してecumenical(エキュメニカル)な式とさせていただきました。
"Angel of Hope"(希望の天使)と名付けられたエンゼル像から、"悲しみ"の中から力強く"希望"を持って立ち上がられますようにという強いメッセージを感じて戴けたら幸いです。
最後に、Richard P. Evans(リチャード・P・エヴァンス)氏の代理で来日したLisa Johnson(リサ・ジョンソン)氏のメッセージ及び、今回の式の様子が掲載された3月14日付け岩手日日新聞の記事を紹介させて戴きます。
連帯東北・西南 代表理事 佐多保彦
2013/3/14付け岩手日日新聞
カテゴリ:Staffレポート
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