2013.07.10 16:23
ILC誘致支援ウォーキング開催(06/30 2013 岩手県西磐井郡平泉町、一関市)
6月30日(日)岩手県西磐井郡平泉町にてILC(国際リニアコライダー)誘致支援シンポジウム(対話集会)及びウォーキングイベントを開催しました。
当財団では6月1日に、金色堂入口前より一関市「なのはなプラザ」まで約10キロの道のりを、 ILC(国際リニアコライダー)誘致支援ウォーキングと称して実施しましたが、いよいよ7月中に日本国内のILC建設候補地が決まると聞き、 この動きを支援すること程大事な東北支援のボランティアワークはないと、ILCの東北誘致を祈念して第2回目のイベントを開催した次第です。
● シンポジウム
仮設住宅を中心に自立支援活動を続けていますが、最近になって一関周辺へILC建設があることを知りました。 東北は復興だけではだめだという思いの中で、このILCの建設実現こそが東北が復興を越えて更に発展して行く為の起爆剤となることを確信した次第です。 ただ、市民レベルでの理解や盛り上がりに欠けていることを実感し、少しでも力になれればとシンポジウムを通して理解を深め、ウォーキングでアピールをしようということとなりました。
シンポジウムの会場は平泉町のご協力により、役場の2階にある会議室を無料提供いただきました。平泉町総務企画課の八重樫忠雄様は、 当日の早朝から会場の設営をして下さったり、後述するウォーキングでも道案内と史跡の説明を担当して下さったりと、大変お世話になりました。
シンポジウムは代表理事の佐多がコーディネータとなり、パネリストとして参加下さったのは、 一関市役所からILCのご専門家2名を除き、他の9名全員が一般市民であり、それぞれの意見を自由な立場で発言戴きました。 ILCについて、参加した皆様が市民感覚で自由にディスカッションし、中長期的な観点から未来の子供たちのために50年後、 100年後の夢を描きましょうとの挨拶からシンポジウムが始まりました。
シンポジウムは、会場にいる全員が一緒になって話し合いに参加できるように、パネリスト席を会場の中央に配置し、 会場内のどこにいても一体感を感じられるようにさせて戴きました。後から頂戴した感想に、とてもリラックスした雰囲気の中で、 一方的に講演を聞くのではなく、意見交換が自由に出来たのでとても良かったとのご意見がありました。
皆様から出されたご意見の一部を紹介します。
- ILCの建設実現はプラスである。国際化に向けて、教育面を強化する。
- 産業の空洞化が一関市にも及んでいて、工場が閉鎖される中で職を失う人が多い。ILC効果で産業が活性化すれば、次世代まで良い影響が出る。外に出ていった人達も戻ってくるのでは?
- 藤沢町では過疎の問題に直面していて、復興が進んでも人がいないのが問題です。集落の存続にかかっている。前向きな考えをする絶好のチャンス、子供達にたくさんの可能性を描いてほしい。ILCについて、問題がないとわかれば、積極的に誘致したい。
- 平泉は外国人から見てとても歴史的文化的に魅力的な場所、しかしPRが足りていない。平泉はすでに国際化に大いに役立っている。
- ILCの建設が実現した際には、国際化がすすみ世界の学者やその家族、関係者等が集まってくると言う、その子弟の教育環境が良くないといわれている東北ですが、インターネットの時代ですので、周りの環境をうまく利用して学ぶことは十分可能。
- わからない物への恐怖をクリアすべく、ILCについての不明な点をつぶして行きたい。岩手県内でも温度差が大きいと感じている。皆の理解のもとで、前進させて行って欲しい。産業が生み出す2次的な効果として、文化教育の底上げができると期待している。
- これまでも国内研究者向けのみの施設はあったが、今回の施設は真の国際化施設になるのです。何万人かの人々が海外から来て、国際化(科学、教育、文化)のモデル都市となりうると思う。東北大学と九州大学が中心となって10名程度の科学者が集まり立地評議委員会が開催され、最終的な国内候補地を決め、その後に日本政府が承認することで正式な立候補となるそうです。
- 千厩町でも人口減少が顕著でありすべてに悪影響が出ている。ILC建設で期待される経済効果で改善されるのであれば、非常に魅力と感じている。POEMではなくDREAMにしたい。
- 大籠には世界中から巡礼者が来る。これまで外国人に対して拒否反応をしていたが、実際に接すると良い人が多いので、考え方を変えるべきと反省している。今後は多くの外国人を受け入れたい。ILCも変化のチャンスととらえたい。
- ILCによる経済効果はどれほどか疑問ですが、人々が自立する意識が低いので、カンフル剤になるのではと期待している。政府が方針を打ち出すのも良いが、一般市民も自分で考えて行動することが必要と感じている。
- ILCの効果は学、官、産の順にそれぞれ考えられる。外国人医師が日本で活躍できる特区も一つのアイデア。ILC来なかったら、現在花崗岩地帯に殆ど人が住んでいないことを逆手にとって、ロケットの発射基地にするのも面白い。科学との接点を大事にしたい。アイデアを出し合う会議を開催するのも面白い。
- ILCについては全くの素人ですが、夢のある施設が日本にできることを嬉しく感じており、雇用の増加にもつながるのであればさらに良いと感じている。
- 原発の後始末が終わらない状況で、ILC建設を進めて良いのか?
- ILC建設後に起きる自然破壊はどうなるのでしょうか?
ILC誘致に賛成するだけでなく、問題点を指摘する意見も出されて様々な意見が交されましたが、 最後に代表の佐多が特にお伝えしたかったことは、科学と宗教が両輪として歩む時代がますます求められており、 科学の平和利用に向けた精神を健全に保つために、いかに良い意味での宗教的思考が必要かということでした。 ILCが岩手県に建設されることが決まった時は、科学の持てる両刃の剣とも言える問題点を、 大きな観点から正しく導いて下さる手段が地元中尊寺に代表される宗教の中にもあるのではないかという意見も代表から出されました。
シンポジウムの最後には、はじめに佐藤住職(曹洞宗)と破石住職(天台宗)の唱える般若心経により皆で多くの3.11犠牲者のお気持ちを思いつつ、 同時に東北の明るい未来の為にILCをとの期待を込めてお祈りを行い、最後はパキスタン人で弊財団のセイエド・タヘルがコラーンの一部を唱えて終了となりました。
● ウォーキング
前回のコースは全長10キロでしたので、体力に自信が無いと参加が難しい設定であったことの反省から、 より多くの方が参加していただけるようにと短く歩きやすいコースとしました。 地元の川嶋印刷株式会社の代表取締役菊地慶矩様及び平泉町役場総務企画課の八重樫忠雄様のご協力を得て、 出発地点は旧観自在王院庭園広場になりました。 この大変美しい開放的な広場に集まって下さった皆様も、すがすがしい気持ちで出発を迎えられたことと思います。
午後1時前に代表の佐多よりご挨拶をさせて戴き、記念撮影の後に出発となりました。 ウォーキングに参加されたのは80名前後でしたが、心地よい天気(薄曇り、気温20度)の下で皆様が、それぞれのペースで歩かれました。 前回同様に、のぼり旗は英語表記を2種類、日本語表記を6種類の合計8種類を用意して、各参加者が願いを込めて一歩一歩確実に歩みを進めました。
出発からおよそ1時間後にはゴールに到着となりましたが、ご参加の皆様が全員ゴールに戻って来られましたので、気持ちが一つになった様に感じました。 「ILC、東北に来て下さい!」です。
今回開催されたイベントの様子は岩手日日新聞、岩手日報にて記事が掲載されておりますので、ご覧下さい。
2013/7/1付け岩手日日新聞
2013/7/1付け岩手日報
カテゴリ:Staffレポート
2013年07月10日 16:23 admin